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90年前から存在するパッシブハウス

2018.07.26

暑苦しい毎日が続くなか、セミの鳴き声がさらに暑さを掻き立てます。

目覚まし時計が鳴る前にセミの鳴き声で目が覚めてしまうほどです。

調べによるとセミは3~17年もの間を土の中で生活するのだとか。

土の中で十分な期間を過ごした後、モゴッと地上に出てきて幼虫から成虫に脱皮します。

そして成虫になったセミは地下生活でのストレスを散するかのように一斉に鳴き散らすのです。

地上での寿命はたったの1週間~2週間と儚い運命だの美化されがちですが、

非常に迷惑なヤツらです・・・

 

** 昨日の水曜日は以前から計画していた

京都にある「聴竹居(ちょうちくきょ)」という住宅の見学に行ってきました。

これは、藤井厚二(ふじいこうじ)という建築家が昭和3年(今から約90年前)に建てた自邸で、

国の重要文化財にも指定されています。

この住宅のすごいところは、90年も前の住宅にもかかわらず自然のエネルギーを利用する、

現在でいうパッシブハウスを当時から目指したというところ。

夏涼しく、冬暖かく・・

今では当たり前に聞こえるこの言葉も、こうした先人の知恵や工夫から生まれていったものだと思います。

そのほか、藤井厚二さんは建物だけではなく、外構、照明器具、建具、家具などすべてを自身でデザインしたのだとか・・・

そのあたりにも非常に興味があり、見学に行くなら夏の猛暑時期を狙って行こうということで、

この時期をずっと楽しみに待ちました。

 

 

まずは敷地への入口。

ち

その辺で拾ってきた自然の石と、加工された石をバランスよく使って、

建物までのアプローチをつくっていました。

あ

 

アプローチを上がったところに玄関があります。

入

玄関ポーチには柱が1本しかありません。

これは来客者の妨げにならないようにわざと1本にしたそうです。

当時は着物が主流だったため引っ掛けないようにということも考慮したとか・・

 

建物の南側の外観です。

よ

風を取り入れる建物の下側には常緑の低木を、

光を取り込む窓の位置には落葉樹を。

夏と冬の日差しの対策をすでに考えていました。

庇についても少しづつ角度を変えたり、伸ばしたりして

日差しを遮り、光を取り込むのに最も適した庇を考えたそうです。

 

室内は猛暑にもかかわらず、扇風機がたった3台回っているだけでした。

若干汗は出ますが、たしかに涼しい空間です。

建物は52坪の平屋なので、そこそこの豪邸ですね。

う

 

室内の写真はあまり載せないように言われたので2枚だけ。

まず客室の一部です。

く

家具の設計もすべて行い、

着物を着ても正座で座れるように座面を長方形にした椅子。

テーブルの端を曲線に加工したのは、膝があたり窮屈な思いをさせないように・・・

ちなみに床材は全部屋「日向松」、90年経った現在も補修は一度も行わず、狂いも全くないとのことでした。

藤井厚二という人は、目利きもすごいらしいです。

 

最後は縁側。

南側の外観から一番よく見えるところです。

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端に向かうにつれて、窓の大きさが細長く変化していきます。

これは遠近法を利用して景色に奥行をもたせるためだそうです。

そのため角の柱もありません。

上部のすりガラスは庇を隠し、視界に景色しか入ってこないように配慮したとか・・

室内環境だけでなく来客者へのもてなし方までもデザインされていました。

 

他にもまだまだ紹介したいことがたくさんありますが、

実際に足を運んで見てもらいたいくらい随所に来客者をもてなす遊び心や、

暑い時期、寒い時期に対する工夫がなされています。

ウワベだけのデザイン住宅が増え続ける昨今、

藤井厚二さんのデザインにはひとつひとつにきちんとした意味があります。

自身が集大成と述べる「聴竹居」にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか・・・

 

 

聴竹居(ちょうちくきょ)

〒618-0071

京都府乙訓郡大山崎町大山崎谷田31

※見学は完全予約制です。

現地ではガイドさんがわかりやすく案内してくれます。

 

 

まだまだ猛暑が続きます。こまめな休憩、水分補給を。

桝江でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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